アルルの静岡紀行

 

 こんにちは、アルルです。

 

 

 この前は静岡に行ってきました。何をしに行ったかというと、ウナギを食べに行ったっていうただそれだけなんですけど、まあそれ以外にも色々回ったので、今回も例によってブログ記事にしました。では早速どうぞ。

 

 

——————————————————————————————————-

 

Phase 0. 事前準備

 ウナギを食べたい、と思い始めたのは2月の終わりごろだった。その時の僕は、まあ3月どっか暇な日に行けばいいか、と思っていたのだが、なんだかんだ言って研究をやらなきゃいけなかったり、研究室の予定が入ったり、人と遊ぶ予定が入ったり、あとブログで書いたように友達とケンカして気分的にめちゃくちゃ滅入っていたこともあり、結局どこにも繰り出せずにいた。

 

 でもやっぱりウナギは食べたいし、どっかに一人で繰り出したいという思いもあった。学校が始まれば、そこまで気楽には旅行には行けなくなる。となると3月中が最後のチャンスだ。そう思い立って、僕は静岡行きを決めた。

 

 僕の行動原理は基本的に衝動性に基づいているため、やろうと思った時はあまり迷わないし、かなり短期的に予定を決める。じゃらんで30分ほど調べて、一番安い宿を2日後に予約した。その後ウナギの店を食べログで上から順に調べて、どこに行くかを決めた。あとはなんかどこを観光するかとかを決めていた。

 

 次の日母親に「明日から静岡に行く」というと、母親はちょっとびっくりしたような表情を浮かべていたが、これまで急に長野に行ったり宇都宮に行ったりしていたため、なんかそこまでキモを抜かれたという感じではなかった。

 

 前日の夜、寝る前に荷造りをすることにした。色々歩き回りたいので、そこまで荷物を重くしたくはない。アメニティや歯ブラシ、寝巻は宿にある。調べると、宿の地下にはランドリーがあって、洗剤も無料で使えるらしい。それなら服も二日間着まわせばいい。あと必要なのは暇つぶしの本、緊急用のモバイルバッテリー、普通の充電器、スマホと財布。こんなもんだろう。結局ショルダーバッグ一つで事足りてしまった。

 

 午前0時過ぎ、就寝。宇都宮の時に全然眠れなくて地獄みたいな思いをしたのだが、その反動で生活習慣が一度完全に壊れ、でなんやかんやあってめちゃくちゃ健康的な体になった。今は遅くとも1時には寝て遅くとも9時には起きている。なのでこの日も目をつぶるとすぐに眠気が来て、気づくと目覚ましの大音量に起こされていた。

 

 

1日目

Phase 1-1 . 浜松駅周辺

 朝7時くらいに起きて出発(デッパツ)。ショルダーバッグを持って出ようとする母親に、「ちょっと待って、旅行にいくんじゃないの?」と聞かれる。なんか色々問答になるのが面倒だったので、僕は「そうだけど、これで足りる。大丈夫です。では、さよなら!」と言って逃げるように家を出た。

 

 最寄りの駅から電車に乗り、JR品川駅まで出てあとは東海道線でどんぶらこどんぶらこ。本を読んだりぼんやりしたり寝たり風景眺めたりして大体6時間、浜松駅に到着。

 

 駅を出て目の前のところにある遠鉄百貨店に入り、8階にあるさわやか浜松遠鉄店に入る。店員が入り口で対応していたので声をかけると90分待ちだと言われる。まあそれくらいならいいかと思い整理券をもらい、外に出る。QRコードがついていて、それをスキャンするとスマホからも待ち時間をその都度確認することができるようになっていた。

 

 駅を出て浜松城に向かう。桜はまだ5分咲きというほどでもない、3分咲きくらい。なんかテキトーに写真とか撮る。

 

f:id:arlenadja:20220414152828j:plain

 

 こんなしょぼい感じだったっけ?って思った。すごい昔に浜松城は行ったことがあるけど、もっとなんか色々あるイメージだった。別の城と取り違えているのかもしれない。

 

 待ち時間がまだ残っていれば駅の近くにある楽器博物館にも寄る予定だったけどあんまりなかったので今回はやめておいた。まあ一回行ったことあるし。

 

 適当に街をぶらついて時間が来るまで待つ。10分前くらいに店の前まで戻ると、店内の席に案内されそこで少し待たされる。10分ほど待ったところでテーブル席に案内された。なんか一番オススメらしい「げんこつハンバーグ」を注文。

 

f:id:arlenadja:20220414152836j:plain

 

 本体が来る前にまず紙のマットを席の前に敷かれて、その上にハンバーグの乗った鉄板が置かれる。マットの手前の端をつまんで鉄板の前にかざすように指示されるのでその通りにすると、店員の人がハンバーグを両断し(この時はまだ中は赤い)、それぞれの断片を鉄板の上に一気に押し付ける。小気味よい音を立ててハンバーグの断面が焼きあがっていくのと同時に大量の油が跳ねる。マットはこのためのものである。油はねが落ち着いてきたらマットから手を放し、ナイフとフォークで食べ始める。

 

 まあ美味しかった。付属のオニオンソースが美味しい。肉の触感もよい。まあでもどうだろうな、他のハンバーグと比べて圧倒的に、群を抜いて美味いのかというと、なんかそこまででもないようなあるような、という感じ。いや美味しかったんだけどね?ガラパゴスの推し方が相当だっただけに期待値を高くし過ぎたのかもしれない。まあでも美味しかったのは美味しかったし、その辺のファミレスで食べるよりかはもちろん美味しかった。100分待つ価値があったかと言われると・・・どうだろうな、よく分かりません。

 

 

Phase 1-2. 弁天島

 ハンバーグを食べた後は再び駅に入り、東海道線をもう少し先に言って弁天島という駅で降りる。18きっぷを使うとこういうちょっとした駅間の移動が気楽にできるのでいい。

 

 弁天島はマジの島である。駅のすぐそばに海岸があって、そこから海を一望できるようになっている。海の中には鳥居が立っていてなんか厳島神社みたいな感じになってる。夕暮れ時とかに行くと、夕日と鳥居の高さがほぼ横ばいになるので非常に”””映える”””んだと思う。ただこの時は昼過ぎだったのでそういう写真は撮れなかった。

f:id:arlenadja:20220414152843j:plain

f:id:arlenadja:20220414152850j:plain

 

 まあでも景色はいい。ちょっとこの辺りで一休みしてもいいかなとも思ったが、海風が強すぎてヤバかったので一通り回って戻ることにした。

 

 公園を出ようとすると、ゆるキャンのパネルに遭遇する。そういえば浜名に来てたことがあったっけ・・・と僕はこの時ようやくおぼろげに思い出した。

f:id:arlenadja:20220414152857j:plain

 

ちなみにここでSwarmを使うと「ゆるキャン△パネル前」が一番上に出てくる。どうでもいい情報。

 

Phase 1-3. 中田島砂丘

 浜松駅に戻ったのは午後の4時半ごろ。僕は駅から5kmほど離れた場所にある砂丘に行こうとしていた。バスで10分ほどの距離である。予約してあったホテルのチェックイン時刻は19時に設定してある。時間的には余裕すぎるくらいある。そこで僕は歩いて目的地まで向かうことにした。

 

 僕はこういう砂丘とか海とか、景観を見るのが好きなのだが、単に街並みを見るのも結構すきだ。特に変わった建物があったり地形が特殊だったり、そういうのじゃなくても、知らない街の中を歩いているというだけでちょっと楽しい気分になる。だから5kmの道のりを歩くのもそこまで苦ではなかった。

f:id:arlenadja:20220414152904j:plain

 歩く途中で撮った写真。

 

 午後5時半過ぎ、砂丘に到着。太陽はもう西に傾いて空は青と橙のコントラストを見せていた。入り口から砂丘に入ると、

f:id:arlenadja:20220414152911j:plain

 

 こんな感じでまずは坂が待ち受けている。途中から砂はかなり深く、気を付けないと足を取られて転びそうになる。この写真をよく見ると稜線の方に人だかりができているが、これはなんか撮影みたいなことをしていた。スタッフが何人もいて、カメラとかも何台か回っていて、その中心には役者っぽい人たち(知らない人だった)が演技をして、はいOKでーすもう1回行きましょう!みたいな?まあそんなことをしていた。近くを通り過ぎようとすると、外側にいたスタッフの人が「こちらからどうぞー」と道を空けてくれた。

f:id:arlenadja:20220414152918j:plain

f:id:arlenadja:20220414152926j:plain

 

 砂浜の景色はとても良かった。西日に照らされて穏やかな海が煌々と赤く輝いていた。砂浜は東も西も視界の向こう側まで続いていた。それはまるで太陽まで続く一本の道のようだった。ちなみに周りにいた人たちは全員アベックで、一人で来ているのは僕だけだった。

 

 なんか夕日の写真を良い感じに撮りたかったのだが、スマホのカメラの機能で太陽のフレアをノイズと判断して自動でキャンセルしてしまって上手くいかなかった。なんか日食見るときに使うあの変な板で見た時みたいな感じになってしまった。まあでも僕の”””眼”””は景色を堪能できたので、それでOKです。

 

 ちなみに帰りは普通にバス使った。疲れたので。

 

Phase 1-4. ホテルにて

 浜松駅は完全なビジネス街で、駅前にビジネスホテルが乱立している。高いものもあるが大抵は割と手ごろな値段で泊まれる。僕はその中でも調べた中で一番安かったホテルに泊まることにした。受付に入ると、優しそうな中年女性が僕を迎えてくれた。僕が名前を告げると彼女は素早く液晶パネルを操作して、その後所定の金額を要求された。先払いらしい。素泊まりで3500円。ビックリするほど安いわけではないが十分だろう。金を渡すと、受付の人は僕に鍵とホテルに関する説明などが書かれた何枚かの紙を渡してくれた。僕は礼を言って外に出た。

 

 僕が受付をしたのは予約したホテルの本館で、僕が泊まるのは歩いて1分ほどの距離のところにある別館である。別館にはスタッフが一人もおらず、入り口に電話が一本置いてあるだけである。正直安全面的に見てこれはどうなのかとも思うが、まあ別館の方が若干安かったので仕方ない。

 

 ホテルの入り口自体に4桁パスワードのロックがかかっており、チェックインの時に教えてもらえる仕組みである。それを開けて中に入ると玄関があり、そこで靴を脱ぐことになっている。すぐそばには靴ロッカーがあり、各部屋に対して同じ番号のものが割り当てられる。鍵は部屋の鍵に付属している。鍵を使ってロッカーを開けると中には使い捨てのスリッパが入っており、靴を入れてそれに履き替えることになっている。そのためか館内はそこまで汚い印象はなかった。

 

 僕の部屋は4階にあった。階段を上って部屋に入り、荷物とかを置いてとりあえずベッドに横たわる。

f:id:arlenadja:20220414152933j:plain

f:id:arlenadja:20220414152941j:plain

 学生寮みたいな部屋。調べた限りでは割かし新しめの建物のようだが、床の木目はところどころ剥げているし、そこまで清潔な感じはなかった。まあ別に僕はそういうのはあまり気にしないし、それに文句を言う筋合いもないのだが。

 

 しばらくボケっとした後、風呂に入る。例によってユニットバスなのだが、風呂場が異様に狭くうまく体を洗えなかった。アメニティはなぜか資生堂だった。

 

 身体を洗い終わって、部屋に付属している寝巻に着替えようと思ったとき、僕はある重大なことに気づく。

 

 替えの下着を持ってきていないのだ。

 

 今まで着ていた服は脱いで、ホテルのランドリーにぶち込めばいい。でも下着はどうする?これをランドリーに入れたら、今履くものがなくなる。でもだからと言ってずっと着回すのか?僕は悩んだ。

 

 でもなんか5秒くらい考えて、「まあ寝るだけだし履かなくてもいいか」という結論に達した。というわけで、僕はこの日の夜、ノーパンに寝間着という格好で過ごすことになった。しかもこの寝間着、思ったよりも丈が短く、僕の身長でも膝くらいまでの高さまでしかない(実はブログ用に写真も撮ったのですが、ちょっとアレだったので掲載は控えます)。普通に風通しが良すぎて寒かったので暖房の温度をめちゃくちゃに上げて暖を取った。

 

 服を洗濯しなければならないので、部屋を出て4階から地下に向かう。結局洗濯と乾燥機を使うので、この往復を3回ほど繰り返すことになった。もちろん履いてない状態で。まあエロ同人みたいな感じですよね雰囲気的には、知らんけど。何言ってっか分かんねーけど普通に。ていうか普通に誰ともすれ違わんかったけど。それよりもシンプルに寒すぎてやばかった。まあでも例えば僕の身長が190㎝とかだったら普通に終わってた・・・というか、わいせつ物陳列罪だったので、この時ばかりは自分の身長の低さに感謝って感じだった。

 

 洗濯機に服一式を全部ぶち込んで、なんか洗剤も適当に入れて、適当にボタンを押して洗濯開始。4階に戻って終わるのを待った。何をしていたかというと、テレビとかを見ていた。ローランドという人(僕はこの時このローランドという人のことを全く知らず、誰だよコイツとか思っていたのだが、その数日後小〇めとの配信を見ている時にちょうどその名前が出てきて、結構有名な人だったのか・・・と思い知ることになった。それがなければ、僕の中で彼は今もよく分からない無名のなんかイキってるおじさんだっただろう・・・)が、だらしない夫をイメチェンしてめっちゃイケイケにするみたいな感じの番組だった。

 

 なんか六本木だか銀座だかなんか忘れたけど、なんかめっちゃオシャレなお店で服を選んで、そのローランドという人が色々チョイスしてくれて、完成形がコチラ!みたいな感じで、テレビのバラエティよろしく最初は?マークの枠で服の部分が隠されてて、それがキラキラしたエフェクトとともに開けていくという演出で満を持して登場して、スタジオの芸能人たちは皆「わぁー!」とか、「すごいオシャレ!」とか、なんか月並みのコメントをしていたのだけれど、僕はなんか、「いや、別にそんなじゃね?」みたいな、「これくらいの服ならし〇むらでも買えないか?」みたいな、そういうヨコシマなことを思ってしまって、我ながらああ、これが所謂オシャレに縁がない男性の考え方なんだなと気づかされた。

 

 ていうか正直思うのが、元の素材がダメだとやっぱ何着せてもダメですよねって思う。そのローランドさんは、めちゃくちゃ背も高いし顔もイカしてるし、そりゃオシャレな服着ればその分オシャレになるのかもしれないけど、そのテレビに出てたダメ夫は普通になんか気弱そうな感じで、典型的なビール太りという感じで、いや別にブサイクとか言うわけじゃないんだけど、なんだろうな、オシャレとは縁遠そうな感じなんだよな。だからどれだけオシャレな服を着てもそれが映えないというか、オシャレな服もそうじゃなく見えちゃうというか・・・。

 

 まあそんな感じなんですよね。結局どういうことかというと、僕みたいな人間には全身紺色がお似合いってこと。

 

 番組が終わって地下に戻ると、洗濯は既に終わっていた。僕は取り出した服をそのまま上にある乾燥機の中にぶち込んで、出力を一番上の設定にしてスイッチを押した。再び部屋に戻った。

 

 部屋に戻った僕は、ここであることに気づく。

 

 夕飯を食べていないのだ。

 

 さわやかを食べたのは午後2時ごろ。それ以降何も口にしてはいなかった。ホテルの外に出ればすぐそばにコンビニがある。だが今は寝間着の状態で、服は洗ったばかりの状態で今乾燥しているところだ。どうする?

 

 そこで5秒くらい考えて、「まあ一食くらい抜いてもいいか」という結論に至る。この前宇都宮行くときにコンビニで買った蒲焼さんが残ってたのでそれを食べた。あとはなんかやることも特になくて暇だったのでシコって後はスマホとか見てた。確かその時VCT Valorantがやってたのでそれを見てたと思う。

 

 VCTが終わって地下に再び行くと、乾燥機はまだ回っていた。蓋を開けて中の服を1枚取り出すともうすでに乾ききっていたため、僕はスイッチを切って服を全て取り出して部屋まで持ち帰った。

 

 下着が復活したため、それを履いた。ベッドに寝転んでスマホを開くと、Slackに通知があった。嫌な予感がしてそれを開くと、マブから「明日研究について議論がしたいのでZoomで話せるか」とチャットが来ていた。僕はまさか旅行に行っているとは言えないため「明日は終日予定が入っているので無理」と答えた。

 

 なんかそれで、僕は結構憂鬱な気分になってしまった。こういうことがあるからあんまり遠出はできないんだよな。春休みと言っても、授業が休みなわけじゃないし、研究はまだ続いてる。それは分かってるし、研究はちゃんとやってるけど、でもちょっとくらい、義務を忘れて休んでもよくないか?あと2年間これが続くと思うとちょっと厳しい思いがある。

 

 はぁ・・・と思いつつ、電気を消す。時刻は既に0時を回っていた。明日も早起きなので寝ないといけない。研究進めた方が良かったかな・・・という思いがちらとよぎる。28日には研究会がある。こんな時に呑気に旅行なんてしてていいのか・・・自分を責める気持ちが出てくると同時に、心臓の鼓動が早くなり、口からはため息しか出なくなる。まあその10分後にはぐっすり寝てたんですけど。

 

 

2日目

Phase 2-1. 朝

 

 起床。午前6時40分。割とたっぷり寝れたので体のだるさはなかった。服を着替え、荷物をサっとまとめて別館を出て、鍵を本館に返してチェックアウトを済ませた。時刻は7時過ぎ。電車には7時半くらいのに乗る予定でまだ余裕がある。ちょうど腹も減っていたところだったのでコンビニでなんか買って食べることにした。それで駅前のファミ↑マに入ったのだが、昼には本旅行の主目的であるウナギを食べに行く予定だったのであんまり腹を満たしたくはない。それにあんまり金も使いたくない。ということで、メロンパンとお茶だけ買った。

 

 平日の早朝、都会の駅前のコンビニの前で、パーカーに肩掛けバッグという出で立ちでメロンパンを貪る背の低いメガネの陰気そうな成人男性。そばを通りがかる人の「何だコイツ!?」と言いたげな怪訝な視線が痛かったが・・・興味ないね、他人のことなんて。

 

 パンを食べ終わった後駅に向かい、18きっぷを見せて構内へ。これで残り1回分である。ちなみにこれは後日金券ショップで売り飛ばした。15分ほど待って電車に乗り込むと、中には思ったより人がいた。僕はドア脇のポールのところに立って目的地まで向かった。いや、別に席が全部埋まってるわけではなかったんだけれど、座席がクロスシートで、どの二席を見ても片方に人が座ってる状況だったので・・・いやなんだろうな、長椅子だったら別に人の隣に座るのって別に気にならないんだけど、クロスシートになると途端に座りづらくなるのって、僕だけなんでしょうかね。皆普通に座れるのかな?つまりこういう↓

 

f:id:arlenadja:20220414153650p:plain

 こういう状況で、座れますか?あなたは。僕は座れないですねちなみに。いやまあどうでもいいんですけどこんな話は。

 

 

Phase 2-2. 天竜浜名湖鉄道

 新所原という駅で下車。反対側のホームにある「天竜浜名湖鉄道」という路線に乗るつもりだった。

 

 駅の改札のところまで来ると券売機があった。いや、それは当たり前なのだが、券売機は券売機でも、よくある液晶パネルの奴じゃなくて、SAの定食屋みたいにボタンがいっぱいついててそれを押すタイプのやつだった。駅が全部一覧で表示されていて、値段がその下に記されている。PASMOは使えないのかな?と思い改札の方をのぞき込もうとすると、窓口にいたなんかすごい優しそうなおじさんが外に出てきて、「どこまで行きたいの?」と聞いてきた。僕が目的地である東都築の名前を告げると、その人は「じゃあここのボタンを押してね。540円だからね」と懇切丁寧に教えてくれた。

 

 切符を買って改札を通り、プラットフォームで待っていると、1両編成の電車がゆったりとした様子でやってきた。僕の他にもなんか撮り鉄っぽい人がいて、一眼レフで正面とか斜めとかから写真を撮っていた。その人が満足して去っていったあと僕もちょっとだけ写真を撮り、その後車内に乗り込んだ。10分ほど停車したのち、1両編成の電車はまたゆっくりと動き始めた。

f:id:arlenadja:20220414152950j:plain

f:id:arlenadja:20220414152957j:plain

(車窓からの風景を撮ったのでガイジが反射して映りこんでいます)

 

 こういう、ザ・ローカル線みたいな電車に乗るのは、結構好きだ。1時間に1本か2本しか来なくて、運賃も微妙に高くて、線路の周りには木々がうっそうと生い茂ってて、泊まる駅は無人駅ばかり。そういうのが好きだ。時間の流れがゆったりとしていて、やけにのんびりしていて、落ち着いていて、そしてそれを誰も咎めることがない。自分もその世界に吸い込まれてその一部になっているような・・・普段のあくせくした日常を忘れさせてくれるような、そんな気がする。ショルダーバッグを脇に置いて、窓際に肘をついて、畑から湖へ、湖から林へ、風景が移り変わっていくのをただぼんやり眺めている。そういう時間が好きだ。まあ住むのはキツイが・・・。

 

 

Phase 2-3. 東都築駅周辺

f:id:arlenadja:20220414153004j:plain

 

 そんなこんなで東都築駅に到着。本来なら、他の駅には券売機がないため、バスみたいに乗車駅で整理券を取って降車する時に料金を払うというシステムらしい。僕の場合は乗車券を先に買っていたのでそれを見せるだけで済んだ。

 

 目的のウナギの店は11時から開店で、9時から店頭でのみ予約ができるシステムになっている。だから僕は9時にそこに行くつもりだった。だが駅に着いた時はまだ8時半過ぎ(この電車しかない)で時間にはまだ余裕があった。そこで僕は駅の近くにあった都築神社という場所に行くことにした。

f:id:arlenadja:20220414153012j:plain

 

 階段が多くてしんどい。踊り場でなんか体操?なのか知らないけど、なんかかめはめ波の練習みたいなことをしてるおじいちゃんがいて隣を通るのがちょっと気まずかった。一番上まで行くと境内があり、またそのそばには見晴らしのよい展望があった。

f:id:arlenadja:20220414153020j:plain

 

 あまり信心深い方ではないのだが、最近はちょっと色々しんどいことが多すぎるので、藁にもすがる思いで参拝することにした。奮発して100円入れた。礼をして手を合わせながら、「どうにかしてくれ」と願った。マジでどうにかしてくれ、マジで。

 

 階段を下りて駅前まで戻ると時刻は9時過ぎ。僕は店に向かった。店はちょうど開いたばかりのようで、僕が来た時にはアベックが1組だけ店員に予約を申し入れているところだった。僕はその後ろに並び、店員に人数と電話番号を告げると、11時にご案内しますと言われる。あとは2時間待つだけだった。

 

 そこで僕はどうしたかというと、隣駅の浜名湖佐久米駅まで行くことにした。ゆるキャン△の聖地である。前日に弁天島でパネルを見たのをきっかけに宿でちょっと調べていて、ちょうど目的地の隣だったのでせっかくだし寄っていこうと思ったのだった。距離は1.5kmほど。全然歩ける距離である。

 

 国道362号線をずっと進んでいく。この362号線はこの辺りまでは東名高速道路と並走するように進んでいくのだが、浜名湖の水上を突っ切っていく東名とは違いこちらは湖の上沿いをなぞるように伸びている。車通りは多かった。

 

 15分ほど歩き佐久米駅に到着。

f:id:arlenadja:20220414153029j:plain

f:id:arlenadja:20220414153036j:plain

f:id:arlenadja:20220414153044j:plain

 

 アニメだとなんか変な水鳥みたいなのがいっぱいいた気がするのだが、時期が悪いのかそんなに大量にいたわけではなかった。眼前の高架の梁の部分や木の枝に何羽か止まっているだけだった。でも東京近辺ではあまり見ない種類の鳥だった。

 

 確かにアニメで見た光景だな・・・と思いつつ駅構内へ。改札はなかったため自由にプラットフォームに上がることができた。スマホを取り出して写真を撮ろうとすると、既に先客がいた。一眼レフを持っていて、見た目も明らかにオタクっぽい(失礼)。「うわ、絶対ゆるキャン△じゃん・・・」と思っていると、そのオタクが急にカメラを構え、木の枝の方に必死にレンズを向けていた。どうやらオタクはオタクでも鳥のオタクだったらしい。

 

 僕も何枚か写真を撮った。

f:id:arlenadja:20220414153051j:plain

f:id:arlenadja:20220414153058j:plain

f:id:arlenadja:20220414153106j:plain

 

 まあいい感じ。うまい具合に電車が来てくれたのでその写真も撮れた。ネットで調べた情報によれば、ゆるキャン△のラッピングがされた車両もあるらしいのだがもうなくなってしまったのだろうか?

 

 ひとしきり周囲を見て回ってもまだ時間には全然余裕があったため、僕は道を逸れて県道310号に入った。これは浜名湖に沿って伸びている道路である。

f:id:arlenadja:20220414153113j:plain

 

 310号に入ったところにある踏切。これもアニメで使われたものらしい(ネット情報)が、そんなもの覚えていない。

 

 さすがに愛知県の隣である静岡県、それも最も愛知に近い浜松市ともなると、踏切でリチギに一時停止する車などいない。たまに止まったと思うと県外ナンバー。これが県民性かと思い知らされる。

 

 県道沿いを歩いていくと、道路のわきに階段があり、そこを降りると浜名湖の湖岸?に出られるようになっていた。そこでなんかパシャパシャ写真を撮る。

f:id:arlenadja:20220414153121j:plain

f:id:arlenadja:20220414153129j:plain

 

湖の写真。

f:id:arlenadja:20220414153136j:plain

 

 潮干狩りは2kgまでらしい。

f:id:arlenadja:20220414153144j:plain

 

 何か謎の植物。くっつき虫?っていうの?なんかあの服にくっつくトゲみたいな植物もあったらしくて、気づいたらパーカーがトゲまみれになっていた。

 

 浜名「湖」という名前にはなっているけれど、一応海と繋がっているためか水質は海に似ていた。近づくと潮の香りがするし、水を舐めると少ししょっぱい。でも俯瞰して見た時の波のない穏やかな様子は湖と呼ぶにふさわしい。なんだか不思議な感覚だった。

 

 ボケっと歩きすぎて気づいたらかなり遠くの方まで来てしまっていた。このままいくと危うく浜名湖の向こう側まで行ってしまうところだった。慌てて道を戻り東都築の周辺まで来ると時刻は既に10時40分ほど。僕は店に向かい、外の駐車場の石垣の上に座って店が開くのを待った。

 

 

Phase 2-4. うなぎ 加茂

 静岡の食べログで2番目に評価が高いお店。1番目はなんか完全予約制の料亭みたいな場所だったので実質ウナギの店ではここが一番である。

 

 11時ちょっと前に店が開き、11時の予約の人は全員入るように言われる。店員に名前を告げるとカウンター席に案内された。うな重や鰻丼にはそれぞれ「上」と「特上」の二つの種類があるが、どうやら質ではなく量の違いらしい。僕はうな重の特上を注文した。すると店員の女性が「特上はかなり量が多いが大丈夫か」という旨のことを聞いてきた。僕の体格を見て完全に舐め切っているようだった。僕は”””血祭”””に上げたい気持ちを抑えつつ「ア...大丈夫です」と答えた。

 

 カウンターの向こうはガラス張りになっていて、それ越しに厨房の様子が見えた。なんか明らかにこの道長そうなおっちゃんが、なんか真剣な目つきでウナギの串焼きを何本か取り出し、タレをつけて炭火で焼いていた。ウナギを炭火で焼くのは関西のウナギの特徴だ。関東ではウナギは蒸すのが普通で、そのため表面も中身も柔らかく仕上がる。対して関西では炭焼きにするため、表面のパリっとした触感を残すことができる。・・・ってネットに書いてあった。

f:id:arlenadja:20220414153152j:plain

 

 結構多い。箸を入れてご飯と共に口に入れると、幸せが口の中に広がっていくのを感じた。美味しい!気づくと僕は箸を動かしてご飯をかきこんでいた。ウナギは一匹半も入っていたらしいが、まったく余裕で食べきってしまった。・・・・・いや、嘘。実を言うと結構苦しかった。

 

 お茶を飲んで胃を落ち着かせると、僕は席を立って勘定を済ませた。4800円。まあこんなもんだろう。いや結構痛いが。

 

Phase 2-5 寄り道

 東都築駅から再び天竜浜名湖線に乗り新所原駅へ。新所原から再び18きっぷ東海道線に乗ろうと思い窓口に行ったのだが、ちょうど昼時(12時過ぎ)だったので誰もおらず、呼び出しのボタンを押しても声をかけても誰も出なかった。「まあええか、どうせ見せるだけやし・・・」僕は良心の咎めるのを感じつつ無断で改札横の通路を抜けていった。

 

 東海道線に乗り、浜松駅では下りずそのまま東京に向けて進んでいく。途中でいくつか寄り道をするつもりだった。

 

 まずは掛川掛川城を見に行った。

f:id:arlenadja:20220414153159j:plain

 

 城の外観。当時はそれほど大きい城ではなかったはずだが、今では浜松城よりもよっぽど規模が大きい施設のようだった。

f:id:arlenadja:20220414153206j:plain

 

 なぜかあったゆるキャン△の看板。

f:id:arlenadja:20220414153214j:plain

 

 謎の花畑。

 

 それから、城の裏手の方にあったステンドグラス博物館というところに入った。どうやら、18~19世紀にかけて大量に取り壊されたイギリスの教会などに飾ってあったステンドグラスを保存して展示してある場所のようだった。入場料500円。

 

 写真撮影OKとのことだったので気に入ったやつをいくつか撮った。

f:id:arlenadja:20220414152743j:plain

 

聖人を表す頭の光輪。女性(マリア)の腹部に向かって上から伸びる光の筋。これは有名な「受胎告知」のシーン。

f:id:arlenadja:20220414152750j:plain

 

 二人ともに光輪があるのでややこしいが、おそらく「ヨハネによる洗礼」のシーン。上に飛んでる鳩は精霊の象徴であり、キリストの復活の象徴でもある。洗礼を受けている男性がイエスその人であるのは明らか。

f:id:arlenadja:20220414152757j:plain

 

 これは・・・わからない。左は恐らく死んだ娘を生き返らせるシーン。右は東方の三博士だかなんかのシーンだと思う。真ん中はわからん。

 

 まあこんな感じ。聖書を読んだり宗教画をちょろっと勉強してたりすると、こういうところでモチーフが分かったりして楽しいねという話でした。

 

 掛川はこれで終わりで、次は静岡駅。駅から歩いて30分ほど行ったところに登呂遺跡がある。

f:id:arlenadja:20220414152805j:plain

f:id:arlenadja:20220414152813j:plain

f:id:arlenadja:20220414152820j:plain

 

 なんか思ったほどのアレではなかった。いやなんだろな、もっとなんか厳かな、なんかザ・遺跡みたいな雰囲気を想像してたのだけれど、なんか普通に昔の住居の復元がある広場?みたいな?あと水田、みたいな?まあそんな感じだった。あんまり帰りを遅くしたくなかったので隣接の博物館には寄らずに戻った。

 

 他は特に寄り道せずに、電車に乗って帰った。移動時間の間に本でも読もうと思って開いたが、研究のこととか、この前友達とケンカしちゃったこととか、その他これまでの人間関係のこととか、Twitterを消したこととか、そういうネガティブなことばかりが頭に浮かんできてしまって集中できなかった。話を読み進めようとしても、両目は文字の上を無感情に滑っていくばかりで、まとまった意味の集まりとして頭の中に入ってこなかった。僕はため息をついて本を閉じ、座席後ろの窓ぶちに首を預け、ただぼんやりと無価値でどうしようもない空想に耽っていた。

 

 東海道線から湘南新宿ラインに乗り換えて座席に座っていると、途中の駅でスーツを着た男女の集団が乗り込んできた。どうやら卒業式の面々らしかった。大学での思い出とか、その他よく分からないくだらない話とか、就職先の話とか、彼らは話題に事欠かず楽しそうに話していた。僕は一体この4年間で、誰かと語るべき思い出を持つことができただろうか?それを語り合うことのできる人間は果たしているのだろうか?

 

 得るものなく、失うものの方が多かった4年間。学びもなく、達成もなく、劣等感と孤独だけが青天井に膨らんでいくだけの人生。僕は腕を組んで目を閉じ、別の空想でこの悲愴を塗りつぶそうとしたが、それは叶わなかった。僕の目からはただ自然と涙があふれてくるばかりだった。この世界の中で、僕だけが一人孤立していて、浮いている、いやというよりも、僕の部分にだけ真っ暗い底なしの穴が開いていて、僕は誰の目にも触れず、誰にも手を差し伸べられず、ただ静かに、漫然とその深淵に沈んでいくような、そんな気分だった。いや寧ろ、僕はそうであることを切に願っていた。誰にも知られずに僕が消えてくれればいい、僕の記憶も、記録も、過去も、現在も、この世界のありとあらゆる場所から「僕」という存在だけが抜け落ちてくれればいい。まぶたの裏の暗闇を見つめながら、僕は必死に、耐え忍ぶように、この苦痛が過ぎ去っていくのを待った。しかし無情な時はやはり一定のリズムで進み続けていた。各駅停車の電車は時計の秒針のように、少し進んでは止まって、進んでは止まって、そればかりを愚かしく繰り返していた。

 

 そんなこんなで新宿に到着。腹が減ってたのでなんか松屋とか食べた。おいしかった。

 

 

——————————————————————————————————

 

 以上です。どうだったでしょうか。

 

 実は完全に一人で、誰とも会わずに旅行したのってこれが初めてだったんですけど、まあ案外楽しかったですね~僕は。人と行くとなんかやっぱり気を遣う部分があったり、旅程とかもちゃんと決めなきゃいけなかったりするけど、一人だとそういうのはないし、旅程もざっくり決めてあとは時間見つつ雑にやればいいし、そういう点では気楽っちゃ気楽でしたね。

 

 ただやっぱり、美味しいものを食べたりとか、きれいな景色を見たりとか、そういう時に得た感動とかっていうのはやっぱり人と共有出来た方が嬉しいし、それに宿とかで一人で過ごしているとやっぱりちょっと退屈だし、寂しさもまあありましたね、実際。

 

 あとはこれは切実な問題として、僕の生活レベルが低すぎて一人だと普通にまじぃっす。今回は1泊だけだからよかったけど長期の旅行はマジで死ぬ可能性がある。夜蒲焼さんで朝メロンパンはさすがにやべぇから。だからなんか食事のモチベーションを高めてくれる人が一緒にいるといいですよねやっぱり。

 

 まあそういう感じですね~。まあ要はどういうことかっていうと、友達募集中ってことなんですけど~、まあでも難しいですよね、そこは。一緒に旅行に行くってなると、やっぱりある程度気心の知れた人じゃないと難しいし、それに予定もちゃんと合わせないといけないし、宿とか食事にも好みがそれぞれあるし。まあだから難しいところではありますよね。

 

 まあそんな感じです。他に特に言うこともないので終わります。

 

 それじゃ、ばいび~

 

 

おわり