臨界

  20XX年、科学の光は世界の真理をことごとく暴き、最早人間の叡智の及ばぬところはなくなるものと思われたが、しかし現実世界のことをどれだけ知ろうと、死後の世界についてはまだ露ともわかっていなかった。また人はそれを知ろうとも思わなかった。科学的な見地からすれば、死はただの現象に過ぎなかったからである。

続きを読む