夢の続き

今朝短編思いついたのでアップしておきます。

 

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 急にごめんね、いきなり話しかけたのは、君にちょっと聞きたいことがあるからなんだ。というのは、僕がこの前見た夢の話なんだけれど。

 あの時僕は中庭で、アイツと一緒に石段のところに座っていた。アイツっていうのは、えーっと、もう名前は忘れちゃったな。でも僕とすごく仲が良かった奴だ。

 あの日も僕とアイツは授業中に、教室を抜けて焼却炉のところまで行って帰ってくるという遊びをしていた。一枚の紙があって、どちらか一方がそれを持って教室を抜け出す、で、中庭の端っこにある焼却炉のところまで行って、紙を少しだけちぎって中に入れる。帰ってきたらその紙をもう一方に渡す。それをずっと繰り返していた。くだらないことだって、君は思うかもしれないけど、でもそれだけでもすごく楽しかったんだ、僕らは。

 でも誤算だったのは、先生が突然、黒板から離れて教室の中をウロウロ歩き始めたことだった。多分何か問題かなんかを解かせてて、暇だってんでそうなったんだと思うんだけど。それで僕は、一番下にある換気用の小窓から這い出そうとするちょうどその瞬間を見られちゃったってワケ。いやあ、こっぴどく怒られたよ。その時にブン殴られた跡が、今でもちょっと痺れが残ってるくらい。なのにアイツは僕がずっと叱られてる間もだんまりで、アイツは殴られずに済んだ。おかしな話じゃないか、これは?僕は先生に、アイツも一緒になって遊んでたって必死に弁解したけど、聞いちゃもらえなかった。誰も僕の話なんか聞こうとしないんだ。その後、どうして先生があの時急に黒板から離れて歩き始めたのか、クラスの皆に聞いて回ったけど、誰も答えちゃくれなかった。皆、僕のことをずっと無視してるんだ。まあそれを言ったら、アイツもアイツで、皆から無視されてるんだけどさ。

 それでその後、僕とアイツは中庭の石段に座っていた。そしたら急に、横からドンっていう衝撃があってさ、それと同時に、右手に熱いというか、生ぬるい感触があった。見てみると、手の甲になにか赤黒いものがベッタリついててさ。それで右側を見ると、アイツが仰向けに倒れてて、口がだらんと開いていて、服の模様か何かなんじゃないかって思うくらいに血がベッタリついててさ。僕は手を伸ばして、アイツに顔に触れようとしたけど、その時またドンっていう衝撃があって、触ることができなかったんだ。

 実を言うとここまでなんだ。ここから先は覚えてないんだよな。その後僕がどうなったのか、アイツはどうなったのか、分からないんだ。

 それがどうも気になっちゃうんだよな、僕としては。頭の中に引っ掛かりがあるみたいで、ことあるごとにこのことを思い出しちゃうんだ。

 もしよかったら、君がこの夢の続きを教えてくれないか?いや、おかしな話だということはもちろん分かってるんだけどさ。でもやっぱり気になるし、もしかしたら君なら知ってるかもしれないし、それになにより、これを知らない限りは、僕はこの場所からきっと離れられない。

 お願いだ。